#4[R18][SakaUra] (裏)カンペキカップルだって繋がりたい

Author: しおん

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「.....は、ふ...ん、はぁ......」

「......」

「ん、ンぐ......」

ずる、ちゅ、じゅるる。
部屋に控えめに響く淫猥な音。
口の端から零れそうになった白濁の雫を、慌てて舌で受け止める。
ちゅぱ、と敢えて大きく音を立てて"ソレ"を吸うと、アイツの喉がごく、と上下して熱すぎるくらいの視線で俺の口元を凝視しているのが分かる。

「ん...ん、」

「っ...」

一滴も零さないように、落とさないように、逆の手の平をお皿のようにして添える。
裏側を舌先でつー、となぞるように辿らせると、アイツはついに耐えきれなくなったのか、はぁ、と熱い熱い吐息を漏らした。

「ぁ、うらさ...」

「ン...ひゃに...」

「ぅ、あの...あのさ.........」

「ぅん...?」


「アイスくらい普通に食べてくれん!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

広めのワンルームに急にぐわぁっっと喧しい声が響いて、余りのうるささに思わず棒付きアイス(ミルク味)を口に咥えて両手で耳を塞いだ。

「んぐっ......うるせぇな!いきなり叫ぶなよ!」
「あっ、ごめん......いやでもうらさんが悪いもん!あんな...あんな、食べ方して、あんな...」
「......あんな?」
「.........っ、何でもあらへん!」

トイレ行ってくる!と真っ赤な顔のままぷるぷる拳を握り締めた坂田は、そう言い放つと足早に部屋を出ていってしまった。

「......」

『あんな、食べ方して、あんな...』

髪と瞳に負けないくらい真っ赤に蒸気した頬、潤む瞳、口から漏れ出る熱く情欲を乗せた吐息。

ー俺をめちゃくちゃにしたくて仕方ないって思ってる、あの雄の顔。

「...っくふふ。」

俺、浦田わたるには、最近新しい楽しみが出来ちゃいました。






ー事の発端は、数週間前。

「...ねーさかた。今日泊まっていい?」
「おん、もちろん。1回家帰る?」
「ううん、めんどくさいからいーや。...ね、さかたももうベッド入ろうよ」
「...ええけど、もう寝るん?」
「ん。行こ。」
「はいはぁい。」

いつもみたいに坂田の家で一緒にゲームをして、たくさん盛り上がって、あっという間に時計の針が10時を示した頃。
ずるずると坂田の手を引いて寝室へ向かうと、背後からんふ、と小さく漏れ出たような笑い声が聞こえてくる。きっとニヤニヤとだらしない顔をしてるんだろう。

「うっ、さぶ...やっぱ暖房付けな寒いなぁ。はい、うらさんに毛布あげる」
「あ、ありがと」
「何か温かいの飲む?寒ない?」
「大丈夫だって。...ね、さかた、もう」
「...ん。おいで、うらさん」

先に寝っ転がった坂田の懐に、遠慮なく飛び込む。胸に顔を擦り寄せると、擽ったそうに頭上から小さな笑い声がした。

(こ、この雰囲気なら)

「ね、さかた、」

「...うらさん...............おやすみ。」

「エッ」

言うや否や。
短くそう告げてすぴすぴと寝息を立て始めた赤髪を腕の中からわなわなと震えながら見つめる。

こ、こんな可愛い俺が腕の中に、ましてや同じベッドにいるのに...!!

(コイツ、何もしてこない...!!!!!!)



「不能なのかな......」
「ブッッッッッ」

ぽつり、小さく呟いた言葉に、目の前の男が思いっきり口からお茶を吹き出したので慌てて仰け反る。

「うわちょっとぉ!汚ぇ!」
「うらたさんからそんな言葉...聞きたくなかった...」
「勝手に変な幻想持つ方が悪い」

ギャー!やめて!なんて頭を振りながらおしぼりで乱雑にテーブルを吹いているこの男、まふまふ。バイト先でできた仲が良い唯一の後輩。とにかく白い。
先日、勉強教えてください!と手を合わせて頼まれたので、この際だからこっちの愚痴も聞いてもらおうと了承したのだが。

(...相手、間違えたかも)

ゲンドウポーズで顔を伏せてしまったまふまふに白い目を向けつつ、まぁいいや、別にアドバイスが欲しいわけじゃないし、と気にせず話の続きをすることにした。

「そりゃあ初っ端からがっつかれるのはごめんだったけどさ?もう付き合って3ヶ月以上経つのに......俺に魅力が無い、っていうのはありえないじゃん。だとすると、坂田側に原因があるとしか...」
「...事実だから何も言えませんが。...うらたさんはそんなに、だ、だ、抱かれたいんですか」

坂田に抱かれたいか。
余りにも直球なその質問に、俺は視線を落として手元のメロンクリームソーダをくるくると掻き混ぜながらうぅん...と言葉を濁した。

「...抱かれたいっていうか。ほら、俺って可愛いじゃん?」
「そうですね」
「こんな可愛い男捕まえておいて、何もしないってさ......おかしいじゃん。」
「...と、言いますと?」
「よ、要するに!!悔しいの!!」

バン!とテーブルに手をついたら思いの外大きな音が出てしまって、周りのざわめきが大きくなったことで、今自分がファミレスにいるのだということを思い出して慌てて手を引っ込めた。

...そう、悔しい。
付き合った初日はあんなにがっついてきたくせに、今じゃキス止まりでお腹に手も入れてくれない。
別に俺がどうしても坂田とえっちなことをしたいとか、そんな話では無い。
可愛い俺に手を出さないなんて、俺に魅力が無いと言われているようで悔しいのだ。そんな訳ないけど!そんな訳ないけど!
普通可愛い人には考えるより先に手が出ちゃうものでしょ!?違うの!?(ド偏見)
...贅沢な話だって、分かってる。坂田はたくさん好きも可愛いも言ってくれるし。
まぁ、でも元々俺はこんな性格だし、と今はむしろ開き直ってしまっているので、もう後には引けない。
だって俺、たくさん愛されたいタイプだもん。

ふん、と鼻を鳴らすとまふまふは苦笑いしながら困った顔をした。

「はは、うらたさんらしい理由ですね。」
「やっぱり不能なのかな...それならそうとちゃんと話して欲しいのに...」
「その言葉は!!もう言わないで!!!」
「うるさ」

初めて会った時から思ってたけどこいつも大概変な奴だな、なんて失礼なことを思いながら、はぁとため息をつく。
カラン、と氷が溶けて涼し気な音を奏でた。

「俺、可愛いけど色気無いから...やっぱ、そういうことなのかな...」
「それはありません。色気は存在してます。大丈夫です。」
「あ、そう...」

こいつここがファミレスだってこと忘れてない?
まぁさっきまで俺も忘れてたから人のこと言えないんだけど。

「簡単な話です。誘惑すれば良いんですよ」

ぱちぱち。突然出てきた聞き慣れないそのワードに驚いて、思わず目を瞬かせる。
まふまふは真剣な顔で人差し指を上へ立てた。

「......ゆうわく」
「そうです。うらたさんの持つもの全て使って誘惑するんです。自負されている通り、うらたさんは可愛いです。ですから、それを最大限利用して彼氏さんを誘ってやればもうイチコロですよ!」
「...具体的に何すれば良いの?」
「そりゃー思わせぶりなことですよ。露出の多い服とかボディータッチとか、誘い文句とか.........うわ、なんか話してて僕が辛くなってきました。もう帰っていいですか?」
「なんでだよ」

...でも、誘惑。良い手かもしれない。

こうして俺は完全に悪い方向へ舵を切ってしまっていることに気付かないまま、脳内でこの先のことを想像してほくそ笑んだ。







「うらさん、今日お風呂どっち先入る?」
「んー、今日俺が先でいい?」
「ええよぉ。ちゃんと温まってきてな」
「分かってるって」

...バタン。

洗面所の扉を後ろ手で閉めて、俺はにやりと口角を上げた。
目の前のカゴには、いつも入れているはずのお気に入りのもこもこパジャマは無い。下着と、白いシャツが一枚だけ。

「ふ、ふふふ...」

そう、これこそ作戦その①!お風呂上がりの生足大作戦!!

生足嫌いな男いないだろ、なんて安直な考えから来たこの作戦。むっつりな坂田には絶対効く!間違いない!ペラペラなシャツを片手にぐっと拳を握り締める。
しかもこのシャツ、自分のではなく何と坂田のものなのである。勝手に拝借して申し訳ないとは思うが、どうせなら彼シャツってやってみたかったし!

(待ってろよさかた...!絶対にお前をコーフンさせてみせる...!)

...なんて意気揚々と豪語してみたは良いものの。

(お、思ったより丈みじかい!)

入浴後、いざ着てみると、思ったより生地は厚くて透けはしなかった。そこは良かったのだが...なにせ丈が短い。太ももが半分くらいしか隠れないのだ。

(これ、腕上げたらパンツ見えちゃう...)

恥ずかしさでぐいぐいと裾を引っ張ってみるものの、もちろん長さが変わる訳もなく。
どうしよう、なんて今更ぐるぐる考え始めてしまって、逆上せてもいないのに目が回りそうだ。
...でも、どちらにしろ着替えはこれ以外持ってきていないし、後には引けない。

(...っええい!男は度胸だ!!)

ガチャ、意を決してドアノブを捻る。
洗面所に留まっていたほかほかした温かい空気が一瞬で逃げていって、冷たい冷気がダイレクトに足を撫でたので思わずすり、と擦り合わせた。
ドキドキ、ドキドキと逸る心臓を感じて胸に手を当てながら、坂田の元へ向かう。
リビングに繋がるドアの前で立ち止まって、ひとつ、大きく深呼吸をした。

(大丈夫、俺可愛いし、絶対大丈夫)

ガチャリ。
控えめに、ドアの開閉音が鳴った。

「た、ただいま、」
「おーうらさん、おかえ......り...............」

ソファーに腰掛けていた坂田は俺の姿を視界に入れると、カチン、と効果音が付きそうなくらい綺麗に、石のように固まってしまった。
一瞬あれ?と不安に思ったものの、じわじわ、じわじわと赤く染まっていくその顔を見て、おぉ!これは効いてる...!と心の中で歓喜の声を上げた。
ふふ、そうだろうそうだろう。さすが俺の自慢の生足。毎日欠かさず脱毛器を当てて美容液でしっかり保湿していた成果がここで発揮されるなんて!やはり努力はするものである。

「えっ...ちょ、なに...ぇ、」

完全にどもってしまっている坂田に気分が良くなって、すたすたとソファーへ足早に近付いて、ぽすんと隣に腰掛ける。
ビクッ、と大袈裟なくらいに体を揺らした坂田の顔はもう既に真っ赤でリンゴみたい。
...それを見たら、もっと攻めてみたくなってしまって。

「へへ、着替え用意しとくの忘れちゃって。勝手に借りちゃってごめんね」
「いや、それは別に、ええけどぉ...」

きょどきょど、視線をさ迷わせる坂田の腕にぎゅっと抱きついて、太ももを坂田の足に擦り合わせてみると、それはもう面白いくらいに動揺して、汗をかきはじめた。
ちら、と坂田の視線が一瞬下を向いたのに目敏く気付いた俺は、坂田の手を取ってゆっくり太ももへと近付ける。

「...さかたなら、触ってもいいよ?」

小さくそう零すと、ぴくん、と動いた左手。
耳まで赤くなった顔。ふー、ふー、と荒くなる息。ギラギラした目。何かに耐えるように噛み締められた唇。
震えながら、俺の太ももに近付く大きな手のひら。

(ぁ、さかた...俺に興奮してくれてる)

そう感じた瞬間、胸の中がとてつもない幸福感で満たされたのが分かった。
好きとか、可愛いとか、そういう言葉とはまた違った、熱い多幸感。
俺のことを愛してるって、本能で理解させられるような視線。

坂田の顔がゆっくり近付く。
テレビの雑音が無かったらお互いの心音が聞こてしまいそうなくらい、俺も、坂田も興奮しているのが分かる。
どくん、どくん、高鳴っていく心臓。
しかし唇まであと数ミリ、というところで、坂田はふい、と顔を逸らしてしまった。

「ごめ...俺も、ふろ、入ってくる...」
「ぁ、」

早口でぼそりとそう告げ、体を離して、足早に洗面所へ向かっていってしまった大きな後ろ姿をぼーっと見つめる。

(俺に興奮してるさかた...かっこよかった...)

結局この日抱いてはくれなかったけど、そんな事どうでも良くなるくらいに俺は、坂田のあの表情のトリコになってしまっていた。



ーここで冒頭の時間軸へ戻る。

さて、前置きが大分長くなってしまったが、お察しの通りあの出来事から俺はすっかり坂田を誘惑(?)することにハマってしまったのである。元々坂田をからかうことが多かったということも要因の一つ。
さらに付け加えると、当初の目的である"抱いて欲しいから誘惑する"、という次元の話では今や無くなっていた。
...坂田の熱に浮かされた顔が見たい、ただそれだけ。
それだけの目的だけど、俺が坂田からの愛情をたくさん感じられるひとつの手段であることも事実で。
あまり褒められたことじゃないって分かっていても、辞められなかった。
さっきみたいに、ちょっとアイスを舐めてみせただけで顔を真っ赤にしてくれる坂田がどうしようもなく愛しくて。
まぁとっとと襲わない坂田も坂田だし、なんて勝手に責任転嫁しながら身が無くなったアイスの棒を意味もなく齧った。
抱かれることが目的ではないけど、もし襲われても当然受け入れるつもりだし。だって坂田のこと好きだもん。

(ま、坂田もからかわれてるだけだって思ってるんだろーな)

ある日は

「はー、今日なんかあっついねぇ。異常気象かな」
「...こら、あんま服パタパタせえへんの。風邪ひくで」

またとある日は

「見てさかたぁ、海外の飴食べたら下が真っピンクになった!」
「ちょっ、あんま軽率に外で舌見せたらいけません!!」
「おかん?」

またさらにとある日は

「うわ、太ももにニキビできたぁ。ほら、」
「あぁああ見せんでええのよ!?!?!?」
「あれ?気のせいだった」
「......」

(ぷっ、)

何をしても大袈裟に反応を示してくれる坂田が面白くて仕方ない。
口では俺を制するように言っているけど、実際に俺を見る目は今にも捕食せんとギラギラしているのだからそのチグハグさが堪らなく愛しい。

次はどんなことしようかな、なんて片隅で考えながら廊下を歩いていると、聞き慣れた声に呼び止められて後ろを振り向く。

「うらたん」
「...センラ」

そこには予想通り金の髪を揺らした青年、センラが立っていたのだが、顔付きがいつもの胡散臭い笑顔ではなく若干引き攣るような表情をしている。いつもと様子の違うセンラに、俺は思わず首を傾げた。

「なに、どうしたの」
「あー、言いにくいんやけどさ、」
「?なに?」
「これ以上アイツを変に煽るの、やめとき」

あまりに抽象的な主語の無い台詞に、意味が分からず頭上にハテナが浮かぶ。
何のこと?と問い掛けると、センラは小さく首を振った。

「...いや、やっぱなんでもあらへん。恋人同士のことに口突っ込むことや無かったな」

ごめん、忘れて。困った顔でそう言って頬を掻くセンラにますます脳内のハテナは増えていく一方だったが問い詰める理由も無かったので、そう?とだけ相槌を打ってその場を後にした。
...いつもは会ったら絶対茶化してくるのに。変なセンラ。




それから日は変わって、数日後。

今日は坂田の親が出張でいないので、坂田の家でお泊まり。
俺の部屋の方が広いけれど、狭めの坂田の部屋にふたりでぎゅーっとくっ付くのが幸せだから、俺は坂田の家によく泊まる。
坂田がそれに気付いているかは分からないけど。...多分、いや絶対気付いてないとは思うが。

いつもみたいにソファーに並んで座って、ひとつのスマホの画面を2人で肩を寄せ合いながら眺める。
俺と坂田は笑いのツボが一緒だから、俺が笑うと坂田も一緒になってくすくす笑ってくれるのが嬉しくて幸せ。...恋人がいるって、幸せ。

しかしそんなほくほくした気分は、急に部屋に流れた無機質な音楽によってあっけなく打ち砕かれてしまった。

「...あ、お風呂沸いた。うらさん入る?」
「...さかたが今すぐ入りたい訳じゃないなら、入っちゃおうかな。」
「んふ、うらさん長風呂やもんなぁ。ええよ、入ってき〜」

あーあ、もうちょいくっついてたかったのに。

坂田にごゆっくり〜とにこやかに送り出されて、ぶすくれながら冷たい廊下を裸足で歩く。
うぅ、寒い。冬のお風呂ってどうしてこんなに苦行なんだろう。
怒りのぶつけ所が見当たらないまま、さすさすと腕をさすって洗面所へと早目に足を進めた。
早く済ませて坂田のところへ戻ろう。




「ねー、見て、さかた」
「ん、なにぃ?」

お互いお風呂に入り終わって、後は寝るだけ。
ソファーでうだうだと時間を潰しているときに、俺は事前に仕込んでいたものを披露するため坂田の肩をぽん、と叩いた。
倒していた上半身をのっそりと起こして俺の方を向いた坂田。
俺はドキドキし始めた鼓動を抑えるようにゆっくり呼吸を整えた。

「見て、ここ」
「ここ、って...」

俺がとんとん、と指を当てた先に視線を向けた坂田は、ぴた、とあからさまにその動きを止めた。

「新しいリップ買ったんだあ。無色だけど、ぷるぷるになるって話題のやつ。......ね、ぷるぷるに見える?」

むい、と指先を唇に押し当てながら首を傾げてそう問うと、坂田はじんわりと顔を赤くした。
あざとすぎってことくらい分かってるけど、許して欲しい。だって、坂田とイチャイチャしたいもん。

「...ん、すごいぷるぷるしとる。かわええ」
「ふふ、だろ?」
「...うん。ほんま、ちゅーしたいくらい!」

最後の言葉はおちゃらけたつもりで言ったのだろう。あは、と目を逸らしながら冗談半分、という風にそう言った坂田に、若干ムッとしながら体を寄せた。

「...していいよ?」
「...」
「キス、して欲しくて付けたんだも...ん、」

全部言い切る前に性急に重なった唇。
ぽってりとした坂田の唇が俺の唇を覆い隠して、その柔らかい感触に気持ち良さと恥ずかしさで目を閉じた。

「ン...ぅ...」

やがて半開きだった俺の唇の間を器用に割って、ぬる、と入り込んだ熱い熱い坂田の舌。
それは乱暴に暴れ回るんじゃなくて、味わうみたいに、ゆっくり丁寧に水音を立てながら俺の口内を生き物みたいに蠢く。
ちゅぷ、くちゅ、音が耳元で響いて、聴覚からも触覚からも快楽と幸福感で満たされていく。
キスも、坂田からの愛情をたくさん感じられるから大好きだ。知らぬ間に夢中になって、お互い唇を貪り合う。
もうリップは完全に舐め取られてしまっていた。

「んんぅ、ん、む...ん、」
「は、...」

数分くらいそうしてから、坂田はゆっくり顔を引いた。透明な唾液がお互いの口内を繋いで、すぐに切れる。

「は、は、......」

既に少し酸欠気味で肩で息をしている俺とは対照的にそこはさすが運動部と言うべきか、坂田は息ひとつ切らさずに俺を優しく抱き締めた。
温かい体温が心地よくて、暖房の稼働する音をBGMにほわほわした気分になりながらその胸に擦り寄る。
ぐっ、と身を寄せて、広い腕の中から坂田を見上げた。

「さかたぁ...すき、」

脳を通さないで口からぽろ、と落ちた言葉。
その幸せな気分に浸りながら夢と現実の境界線をうつらうつらとし始めた、その時。

はぁーーーーーー。とそれはそれは大きな長いため息が頭上から聞こえてきて、先程までのふわふわした気持ちが一気に霧散した。

やば、ちょっと甘えすぎた?迷惑だったかも。

とりあえず離れなきゃ。
そう思って慌てて体を離そうと腕に力を込めた。

「ごっ、ごめんさか...っン!?」

謝罪をする暇もなく、突然グイッ、と強い力で顎を掴まれて、坂田の方へ強制的に顔を向けさせられた。先程までとは打って変わった乱暴な動きに目を白黒させる。
え?、と瞬きをした次の瞬間には、もう坂田の熱い吐息が唇にかかっていた。

「ん!?ん、んん、む、ぐ...」

さっきとは全然違う、掻き回すような乱雑な深いキス。水音もより大きくなって、ぐちゅぐちゅと更に卑猥な音を立て始めた。
...突然の激しいキスに思考が追いつかない。
考えようとすると坂田の舌が俺の上顎を撫でて責め立てるせいで、びくん、と体が勝手に揺れて、まともに頭が働かなくなってしまう。

「んぐ、んん...は、は、」

頑張って鼻で息をしても、全然酸素が足りない。
激しく動き回る坂田の舌からどうにかして逃げたくて、首を逸らしてぷは、と唇を離したのに、坂田はすぐ追い掛けてきて俺の口内へ遠慮なく舌を差し込んだ。

「ぃ、んや、しゃか、」
「ん...引かれると、追いたくなるから」

どれだけ逃げても坂田はそれを追尾するみたいにしつこく追いかけて、絡め取ってしまうからもうたまらない。
じゅる、坂田が舌を吸う音が下品に響く。頭がぼんやりしてきた。
やっと唇が離れたころには、さすがに坂田もはぁはぁと息を荒くしていた。それが酸欠故なのか、はたまた興奮故なのかは分からないけど。

「......わざと?」
「...へ?」

熱っぽく俺を見つめたまま、ぽつりと坂田が呟いた。熟れた林檎みたいな瞳に、こちらまで釣られて赤くなってしまいそう。

「...最近の煽ってくるみたいな、あれ。...わざと?それとも無意識?」
「あー......」

目を逸らし口ごもった俺の肩を強く掴んで、ムッ、とした表情で俺の返事を待つ坂田の視線が痛い。
そりゃもちろんわざとだよ!当たり前だろ!
あんなこと無意識にやるわけあるか!
そう言ってやりたいけど、坂田の表情を見ていると何だか軽率に言ってはいけないような謎の危機感に襲われて、中々言い出せない。
だんまりな俺に痺れを切らしたのか、こつん、と坂田が額をくっ付けた。

「うらさんは、分かってへん...。俺がいつも、どんな目でうらさんを見てるか、」
「ぇ、」
「...最初は付き合えるだけで幸せやった。ずっと、ずっと好きやったんやもん。...でも、いざ付き合えたらさ。ああしたい、こうしたい、ってめっちゃたくさん望んでまう......あかん、俺、今めっちゃ欲張りになっとる」

あぁ、坂田も俺と同じだったんだ。
俺も、同じ。もっともっと、って望んでる。

「っねぇうらさ、俺もう、我慢できひん...っ!お願い、抱かせて...、触らせて、お願い」

懇願するように吐き出された直接的な言葉に、顔が熱くなる。ここまで坂田が興奮しているのを見るのは、初めてだった。
ちゅう、と首筋に吸い付かれて肩が跳ねる。
媚薬に犯されているみたいな、おかしな気分になりながら、「我慢しろなんて最初から言ってない」って、そう言おうとしたのに、返事を待たずにするりと手のひらが服の中に入り込んで来て頭が真っ白になった。

(う、うそ、俺まだ返事してな、)

さわ、さわと明らかに"そういう意図"を持った厭らしい手付きで坂田の手が素肌の上を這い回る。
うそ、ついに俺襲われちゃうの!?なんて脳内でもう一人の自分がキャーキャーと騒ぎ出す。
焦っているうちにその手はつつ、と腹を伝って、やがてどんどん上へ上へと昇っていく。
一瞬、ほんと一瞬、胸の突起を指がさっと掠めて、「ぅあ、」と情けない声が漏れてしまい、慌てて口を手で塞いだ。

「ぁ、これ...きもちい?」
「ぅ、うぁぁ...ん...、」

くりくり、片方の突起を優しく指で捏ねられてビクビクと浮いた腰を、坂田が空いた方の腕を回して支えた。いや、押さえ付ける、の方が正しいかも。きつく抱き込まれて、うまく身動きが取れない。
触られてやっと自分の身体が敏感であったことを思い出し、今更焦りが出てきた。俺、大丈夫かな。
ちら、と見ると目の前にはふぅ、ふぅ、と犬みたいに息を荒くする坂田。
...いつもうらさんうらさんって、俺の名前を呼んで後ろを付いてきて、〇〇していい?とか〇〇しない?とか、やかましいくらいお伺いを立ててくるのに。
今は、俺の返事なんか聞かずに自分の欲望を優先して手を動かしてる。俺を抱きたいって、そんな熱情が全面にモロに出ちゃってる。
そんな坂田の"雄"の姿を見たら、意味が分からないくらい胸がギュン、とときめいてしまって。

(ど、どうしよ、ドキドキしちゃう)

突起を弄る手は止めないまま、また横から唇を奪われて、くぐもった喘ぎが口内に響く。
坂田がぐいぐいと身体をこちらに傾けてくるせいで重みに耐えきれなくなって、されるがままにぽすん、とソファーに背中を預けた。

「ん、んっ......ぅあ、ぁぁ、」

追いかけるように体を倒して密着させた坂田が、一度離れてしまった唇をまた重ねてくる。
口内を味わうみたいな、優しくてとろけるような深いキスの合間に、それまで優しかった指先が突然ぎゅ、と強めの力で突起を摘まんだ。
急な刺激に驚いて肩が跳ね、「あっ!」と声を上げながら反射で顔を逸らしてしまう。

「はぁ、かわいい......ね、もっと声聞かせて、」

口元に手を当てて快楽を受け流そうとする俺の姿を一瞥した坂田は、少し上体を起こしたあと、一旦手を抜いて性急にパジャマのボタンを外していく。
まだ上半分だけなのに、恥ずかしくてたまらない。だって、これって、完全にこれからソウイウ事をするってことでしょ?
待ったを掛ける暇も無いまま、坂田は露わになった俺の上半身を熱い視線で眺めて、さわ、と撫でた。

「ぁ、」
「きれい、うらさん、」
「ぅ......」
「肌、まっしろやね」
「も、見すぎ..................んぁっ!?!?」
「ン...」

顔を胸へ近付けた坂田に嫌な予感がして慌てて頭を押さえたが大した抵抗にもならず、そのままペロ、と突起を舐め上げたので悲鳴に近い声が出てしまった。
ぬるりとした未知の感覚が襲いかかって体が自分の物じゃないみたいにビクビク揺れる。
恥ずかしい、恥ずかしい!
(...でも、きもちい)
胸に頭を埋めて右の突起を口で転がしながら、空いている片手の指で左の突起をくりくりと弄られて快楽に下半身に熱が溜まっていくのをありありと感じる。
時々いたずらにジュっ、と吸い上げるのでその度に自分のものじゃないみたいな恥ずかしい声が出てしまう。
口元を抑えていた俺の手をやんわりとどかして、隠さないで、大丈夫、可愛い、可愛いと脳に直接刷り込むみたいに繰り返し優しく囁かれる。
こんなに溢れるほど愛を感じたのは、初めてだ。

「ぁ、さか......」
「うらさ、はぁ、ん...」
「っひぃ!?!?」

ちゅぱ、と胸から口を離した坂田が、ぐいぐいと腰を俺の足へ押し付けた。
布越しに太ももに感じた固くて熱いモノに、俺はあまりの生々しさに悲鳴を上げる。

(さ、さかた、た、勃ってるぅ...!!)

やっぱ全然不能じゃなかったぁ!なんてふざけてる余裕はもはや無い。
いざズボン越しに膨らんだそれを目の当たりにすると怖くなってきて無意識に体を上へずらし逃げの体制に入ったが、すぐに坂田が追いかけて覆いかぶさってくるからまるで意味が無い。

「ちょ、ちょっと待ってさか...んぅ」

何かを言おうとするとすぐ唇を重ねて舌を絡め取られてしまうのだからタチが悪い。
ちゅぷ、くちゅ、と音を立ててぴっとり唇をくっつけながら舌が擦り合わさる。
...ほんとに、坂田に食べられてしまいそう。

すると坂田はキスを続けながら俺のズボンに手を掛けて、器用にするすると下へ下ろし始めた。
ウエストゴムタイプのふわもこズボンはいとも簡単に膝下まで下ろされてしまい、急に外気に晒された太ももが寒さでふる、と震えた。
上はボタンを全て外され前開きにされて、下は薄い下着1枚のみ。
いよいよあられも無い、逃げ場の無い姿にされてしまって、俺は恥ずかしさで火でも吹きそうだった。

「ぁ、ばか、じろじろ見ないで、」
「いやや、見る、触る」

俺に跨ったまま体を起こして、恍惚とした表情で上から俺を見下ろしてくる坂田に、支配されてるみたいな感覚に陥った。
頬、首、胸、脇腹、太もも、と順々に両手のひらで舐め回すみたいにさわさわと撫でる坂田。
俺の体に触れるのが嬉しくて堪らないって顔に書いてあるのが分かって、何だか俺も嬉しくなった。
おへその周りを人差し指でくるくると円を書くようになぞられて、擽ったさでクスクスと笑いが漏れる。

「...んふ、ここくすぐったい?」
「ふふ、うん..................んあ!?!?」
「......じゃあ、ここは?」
「あっ、あぁ...あぅ、んん...」
「...ここは、きもちい?」

ゆっくり下へ降りた坂田の熱い手のひらが、すりすりと優しく足の間を撫で始めた。
突然与えられた決定的な快楽に口から悩ましい声が溢れ出る。先程までのキスと胸への刺激で既に高まってしまっていたからか、弱い力で撫でられているだけでも腰がじぃん、と熱くなるくらいに気持ちが良かった。
...どうしよう、坂田に恥ずかしいところ触られちゃってる。

「っは...うれし、うらさんも興奮してくれてる、」
「ぁ、あぁ、さかた、」
「もうちょっとだけ、足開かせるね、」

坂田の体がぐい、と足の間に割入れられて、自然と足が開く。股を広げる恥ずかしい格好に顔が更に赤くなった。
撫でる圧を少し強めて、再び坂田が股を労るみたいに撫で擦り始めた。
それだけで気持ちが良いのに、時々指先でカリカリといたずらに引っ掻いたり、会陰のところをつつーと人差し指で辿られたりするのでもう体のビクビクが止まらない。

「ぁあ...むり...んぐぅ...」
「だいじょうぶ、気持ちいいだけやからね...我慢せんで...」

すると撫でるのを辞めた坂田が片手を下着の中に差し込んできて、する、と指先で鼠径部をなぞった。
ビクッと跳ねる体。

「ぅ.........」

半ば無意識に坂田の腕を掴んだ。
それがこれから与えられるであろう未知の快楽への恐怖故なのか、もっとして欲しいという懇願故なのかは自分でもよく分からなかった。
そんな俺の頭を優しく撫でた坂田は、体を倒してちゅ、と唇にひとつ軽いキスを落とした。

鼠径部と薄い陰毛のあたりをさわさわとまさぐっていた坂田の熱い手のひらが、やがて優しく俺の性器を握った。

「っひ...!!ぁ、あ、」
「かわぃ...きもち...?」

ゆっくりと、でもしっかり俺を快楽へ導くように、坂田が手を上下に動かしてちゅこちゅこと俺のものを擦る。
先走りで滑りが良くなった性器からくちゅ、くちゅ、と卑猥な音が聞こえてきて耳を塞ぎたくなった。

「はぁ、ん...あ、あ......」
「うらさんえっち...かわいい...」

坂田は右手で俺を責め立てながら、左手の親指で捏ねるようにして胸の突起を弄くり回す。
首筋にちゅ、ちゅと落とされる雨みたいなキスは優しくて丁寧なのに、性器を擦る右手の動きはどんどん大胆になっていく。腰が無意識に揺れる。
もう、口の端から情けなく喘ぎを漏らすことしかできない。

「ね、きもちい?教えて、うらさん」

(きもちいい、さかた、)

「きもちい......」

ぽろ、と零れた言葉を聞いて、坂田ががばっと勢い良く顔を上げた。
目をキラキラさせて、嬉しそうに口角をムズムズさせているのがご褒美を貰った犬みたいで可愛いらしいけど、右手から与え続けられる快楽のせいでそれを揶揄う余裕も無い。

「きもちーね、かわいいね」
「ん、きもちい......」
「んふ、うれしい...もっと気持ちよくなって...?」
「ぅ、っぁあ!!」

坂田が急に擦るスピードを早くしたので、急激な快感に背中が沿った。
ぐちゅぐちゅと液体の泡立つ音が響いて耳まで犯されている気分だ。
右手を上下に動かしながらも体をぴっとりとくっ付けてきて顔や首筋にキスを落としてくれるから、必死に坂田の方に擦り寄って与えられる快楽を享受する。
あ、もうダメだ、もうむり、溢れちゃう。
内側からぐんぐんせり上がってくる熱に、目頭が熱くなって口はだらしなく開かれる。
そのまま確実に絶頂へ導く手に抗えないまま、がくがくと小刻みに揺れ始めた腰に手を添えられてぎゅう、と固く目を閉じた。
絶頂がすぐそこに近付いてきているのが分かる。
顔を見せたくなくて思わず両手で顔面を覆ったのに、すぐに坂田の片腕によって手首を纏められ頭上に縫い止められてしまった。

「ぁああ、だめ、もうむり、イッちゃう...っふぅ、さかたぁ、」
「っはぁ、せやね、イッちゃうね......俺にうらさんの可愛いイキ顔見せて、」
「ぁっいや、んぁ...、も、っっんぅ〜〜っっっっっ!!!!」

びりびりと電撃のような快楽が背筋を駆け巡って反射でぎゅう、と足先を丸める。

ぁ、おれ、さかたにイかされちゃった...

惚けながらはぁ、はぁ、と息を整える俺の目頭にちゅ、とキスを落とした坂田が、「イキ顔かわいすぎ、」と興奮し切った面持ちで呟く。
下着がじわ、と濡れていく感覚がしてもう恥ずかしさやら気持ちよさやらが混じりあってもう自分でもどんな顔をしているのか全く分からない。
俺、今すごく酷い顔してそう。坂田はあー言うけど絶対可愛くない。
うぅ、なんて顔を隠しながら唸っていると、坂田が俺の上から退いた。

「うらさん...ベッド、行こか」



坂田に横抱きにされ寝室へ移動した後、ぽすん、と柔らかいベッドに優しく落とされる。その丁寧な手つきとふわ、と鼻腔をつく坂田の香りに胸がキュン、と高鳴った。
すると坂田がいつもパジャマ代わりに穿いているバスパンを脱ぎ始めたので、ドキーンとあからさまに心臓が跳ねた。下着だけだと大きく膨らんだ坂田の坂田が余計に目立って...えっ、まって思ってたよりおおきいかも...

「...うえ、」
「ん?」
「上、脱がないの」

きょとん、と目を瞬かせた坂田は、言葉の意味を理解するとニヤァ、と口角を怪しげに上げた。

「んふ、なぁにうらさん、脱いで欲しいの?」
「だ、だって俺脱いでるから!不公平じゃん!」
「うらさんのえっち〜」
「なっ...、バカ!もういい!」

顔を横にふん、と逸らした俺に坂田は「ごめんて、可愛いから揶揄いたくなんねん」と笑って俺のおでこにキスを落とした。
いつもは俺がからかってるのに!坂田が俺を揶揄うなんて100年早いのに!
そう思ってても目の前の無造作にTシャツを脱ぎ捨てる姿を見て信じられないくらいキュンキュンしてしまっていることも事実で。
引き締まった身体が眼前に近付いてヒョエ、と情けない声が漏れる。
再びのしかかってきた坂田が、「ごめん、気持ち悪かったよな」と既に精液で汚れてしまっている俺の下着に手を掛け、下へ引っ張った。
あまりに突然だったので抵抗する間もなく、いとも簡単にするっと降ろされてしまったぐしょぐしょの俺の下着。
ハッと我に返って慌てて手の平で陰部を隠したけどすぐその手も取られてしまい、いよいよ生まれたままの姿を坂田に晒してしまった。...真上からの視線がうるさい。

「じろじろ見んな、へんたい...」
「ええやん、見せてや。どんだけ我慢したと思ってん」

そう言って本当に舐めるように見てくるからもうどうしていいか分からなくなって、無理矢理坂田の首に手を回して顔をぐいっと首元へ近付けさせた。こうすれば見えないだろ...!
ふふん、と勝った気分でいたのも束の間、べろりと首筋を坂田の分厚い舌が這って、「ひゃっ!?」と甲高い声を上げてしまった。

「ふ、甘いなうらさん」
「ぐぬぅ......」
「ん......ちょっと足持ち上げるで、」
「ぅえっ、」

上体を起こした坂田が、なんと俺の片足の膝裏に腕を通してそのまま折り曲げるように持ち上げたので、ビックリして頭が混乱する。
すると片足を折り畳んだ状態の俺の体に坂田が自分の体を倒してくっ付けてきた。

(あっ、当たってるぅっ!)

俺の丸出しの性器に、坂田の布越しの性器がぴっとりと重なっていて、心の中で悲鳴を上げた。

「っはぁ......ん...」
「んッ、うそ、あ...うぁ...んっ、」

それから気怠げに息を吐いた坂田が、ゆっくりと、押し上げるように腰を揺さぶり始めた。
性器同士が擦れてあまりの気持ちよさに喘ぎが止まらない。
1枚の布は隔てていても、坂田の動きは完全に"性行為そのもの"の動作だった。

「あぁっ...ん、んぅ...ひ、」
「ふ...きもち...」

(こんな、ほんとにエッチしてるみたいな動き......)

擦り付けられるものによる外部的な快楽と、眉根を寄せて息をつきながらたんたん、と腰を振る坂田の雄の姿による視覚的な快楽の両方に犯されて、もう気を抜けば直ぐに達してしまいそうだった。

「う、いや...この格好いやだぁ、ん、」
「っんふ、いや?ほんまにえっち、してるみたいやね...ふ、」
「...ぅあぁ、!だめ、さかた、またイッちゃう、んぁ、♡」
「っうん、いっぱいイッて...っ」
「ぁ、あ、ん、ンン〜〜〜〜ッッッッ!!!♡♡」

ぴゅ、と飛び出た精液が坂田の下着を濡らす。
しかし俺が達した後も坂田はゆるゆると止まらず腰を動かし続けるので、敏感になっている性器が更に擦れて悲鳴を上げる。
やだ、気持ちよすぎてつらい。止まって欲しい。
制止の意を込めてふるふると首を横に振りながら坂田の腕を縋るように掴んでみたら、それをお強請りだと勘違いしたのかニヤ、と口角を上げてまた速く腰を振り始めた。

「んぁあ、もっ、おれイッたってばぁっ!ぁ、止まってぇ、んっ♡♡」
「ふ、かわいっ...もうちょい付き合ってっ...」
「ぁあ...いや...またきちゃう...♡んん!」
「は、おれも......イきそ......」

もう坂田の下着は俺の精液と坂田の先走りでぐちゃぐちゃだった。
絶頂が近いのだろう、ラストスパートを掛けるように激しく動きながら眉根を顰めてふぅ、と深く息をつく坂田。その初めて見る表情に胸がキュンキュンして痛い。イくの耐えてる顔、めちゃくちゃえっちだ。
あまりに卑猥な光景に耐えられなくて目を閉じるけど、視界が遮断されると余計五感が研ぎ澄まされて快感が倍増して襲いかかってくる。
またぐんぐんと這い上がってきた熱に逆らえず下半身にぎゅっと力を込めた。

「ぁ、んああぁあっ!!!♡♡」
「んッ.........!!」

ぴゅるる、白い液体が自身から飛び出る。
俺のものが付いてよく分からなくなってしまっているけれど、反応的に坂田も達したようだった。

(ぅ、おっきい声出ちゃった、)

しかも、もう3回もイッちゃった。
息を切らしながら恥ずかしくて俯くと、坂田はまた可愛い、と言ってこめかみにキスを落とした。

「...ね、うらさ、触って」
「んぇ、」
「俺の、触って」

熱い吐息と共に告げられた衝撃的なお願いにギクッとした。有無を言わせないような熱に浮かされた瞳に真っ直ぐ見つめられて、首を横に振れない。おずおず、とゆっくり、本当にゆっくり手を坂田の下半身に伸ばしていくと、遅い動きに痺れを切らした坂田が俺の手首を掴んでぐい、と引っ張り、己の下半身へと強引に導いた。
さわ、と触れた下着越しの硬いモノ。

(ぅ、わ)

坂田の、熱くてドクドクしてる。
勿論他人の性器なんて触ったことは無いので、初めて触れたその生々しい感触に思わずごくりと喉が鳴る。...俺のとは大きさも熱量も全然違うみたい。好奇心でそっと撫でるように手を動かしてみると、はぁ、と坂田が口から熱い息を洩らした。

「脱がして、?」
「んっ、」

体をくっ付けてきた坂田が、かぷ、と俺の耳を甘噛みするように食んだ。
言われるままに下着のウエストゴムを掴んでぐいぐいと下に下げる。腕を必死に伸ばしている状態なので、力がうまく入らずなかなかうまく下がらない。やっとのことで下ろし切り、ぶる、と飛び出てきた坂田のモノにヒョエ、と脳内で弱々しい悲鳴を上げた。

「ん、ありがと...、」
「う、うん、」

なんか今日の坂田、話す言葉全部に吐息が含まれていてすごくえっちだ。何を言われてもぞわぞわとしたものが背筋を駆け巡る。
それから坂田はベッドサイドにある小さな引き出しへと腕を伸ばした。
なんだろう、とぼーっとした頭でその動きを眺めていると、視界に入った引き出しから出てきたものに一気に脳が覚醒した。

(あ、あれ、ローション...!?)

蜂蜜を入れる容器みたいなものに入った透明な粘度の高い液体。それを手のひらにぷちゅ、と出して温め始めた坂田を見ていられなくて顔を覆う。
...用意してたってことは、坂田もずっと期待してたんだ。俺のこと抱きたい、って思いながら。
それって、なんか嬉しいな。

「...ココ、触っても、いい?」

ぴと、とローションでぬるついた坂田の指が宛てがわれたのは後ろの孔。もう心臓はうるさいくらいにバクバクと早鐘を打っている。
宛てがわれた指から目を逸らして、コク、と小さく頷くと、坂田は嬉しそうに笑ってから指をぬぷ、とゆっくり押し進めた。

「ぅ...ぅあ......」
「大丈夫、大丈夫...ゆっくり息吐いて...そう、じょうずやで...」
「ふぅ...んん...」

初めて感じる異物感。
坂田の指が肉壁を掻き分けてゆっくりゆっくり侵入してくる感覚に、無意識に腰が引けた。とん、と指の間が後孔の入口にぶつかるまで侵入したところで、中を押し広げるように坂田の指が動き始めた。

「ん...うらさんの中、あったかい」
「そ、ゆこと、言うなぁ、ん、」

まだ違和感の方が強くて快感を得られるほどでは無いけれど、坂田の指が俺の体内に入っちゃってる、とか指で犯されちゃってる、とかそんなことを考えてたら何だか気持ちよくなってきて、びりびりと腰が甘く痺れた。完全に今主導権を握っているのは坂田なんだ、という被支配感に襲われる。
するとしばらくゆるゆると指を動かしていた坂田が、ふと何かに気付いて首を傾げた。

「うらさん...中、柔らかい?」
「ぅっ、」

ギクッと肩が跳ねる。...やっぱバレるよな。
ね、うらさん、と指をねちねちと動かしながら期待したような眼差しでこちらを見る坂田。
懇願するみたいな、いつもの大型犬みたいな表情に負けて、おずおずと口を開いた。

「ぉ、おまえほんとバカ......」
「エッ」
「...お、俺が!おまえんち泊まる時いっつも長風呂なの!一度も不思議に思わなかったのかよっ......ヒッ!?!?」

急にグリッと強めに中を抉られて喉が引き攣った。圧迫感が増したことで、指が増やされたことがなんとなく分かる。

「...じゃあずっと準備してくれてたん?泊まるたび?」
「ぅ、そうだって言って...んぅ!!さ、さかた!そこなんか変だからっ...やめっ...ヒッ」
「っはぁ......そんなんさぁ............めちゃくちゃ気持ちよくしてあげたくなるやん、」

お腹側のとある一点をぐいぐい指で押し上げられると得体の知れない感覚がして怖くなって刺激を与えている張本人である坂田に縋り付く。
直接的な刺激じゃなくて、お腹がざわざわして重たい絶頂がぬるま湯みたいにゆっくり迫ってくるような、そんなおかしな感覚。
...何これ、こんなの、知らない。

「こ、こわい...なんかそこ怖いからやめて、さかた、」
「怖ないよ、大丈夫。気持ちいいだけやからね...ほら、力抜いて」
「うぅ、」

狙いを定めたようにそのしこりを2本の指で捏ねたり強めに押したりと好き勝手に弄られて、深い深い波が下半身に押し寄せてくるのが分かる。このまま触られ続けたら俺、どうなっちゃうんだろう。

「うらさん、きもちいい?痛くない?どんな感じする?」
「ぅ、な、んか...ぞわぞわする...痛くはないけど、へんな感じ...」
「ん、そっか。教えてくれてありがとぉ。...うーん、やっぱりまだナカだけじゃイけへんよね...」
「...っえ?さかた、ちょっ、待っ......ひ!?」

頭を下げて屈んだ坂田に嫌な予感がして手を伸ばすも間に合わず、すぐ張り詰めた自身が生暖かくて湿ったものに包まれた。
突然訪れた耐え難いくらいの強い刺激に首が仰反る。身長に比例した少し小さめの俺の性器はすっぽりと簡単に坂田の大きな口に覆われてしまっている。
じゅぽ、じゅぽと坂田が顔を上下に動かして、俺のものが坂田の口内を出て、入って......

「あぁあ...むり...んやぁぁ...!!」
「ん、ふ...」

俺のものをねっとり口内で舐りながらも、中に埋めた指の動きは止まらない。
ぐちゅぐちゅ、ぬぷぬぷ、下半身から淫猥な水音が煩いくらい聞こえてきてもう耳を塞いでしまいたかった。
やがて口を窄めた坂田がじゅる、と亀頭を吸い上げて、指の動きを一気に激しくし始める。俺を完全に絶頂させようとする動きだった。
いっそ暴力的なまでの快楽にあっという間に大きな絶頂が近付いて腰がガクガク揺れ、引き攣った声が漏れ出す。もう、気持ち良すぎてつらい。

「んああ〜〜〜っっっっっっ!!!♡♡♡」

達する寸前で力を振りしぼって坂田の頭から逃げたので、もう出しすぎて薄くなった精液がピュ、と坂田の胸に飛び散る。
ずる、とゆっくり坂田の指が抜けていく感覚に腰がゾワゾワした。
...さ、さかたに俺のかけちゃった。恥ずかしい。早く拭かないと。
荒い息のまま急いでベッド脇にあったティッシュを取って「ご、ごめん、」とゴシゴシ胸を拭うと、坂田は目を細めて微笑みながら俺の頬を包んだ。

「なんで謝るん?いっぱい感じてくれて嬉しい。うらさん、だいすき」

愛おしい、ってでかでかと書いてるみたいな表情でコツン、と額をくっつけられて、キューーンって胸が締まる。

「おれも、だいすき...」

すり、と擦り寄ると坂田がふふ、と小さく笑った気配がした。

「...ね、うらさんが嫌なことは絶対、死んでもしないって誓うから。嫌やったらぶん殴ってええから。...うらさんと繋がりたい...だめ、?」

子犬みたいにこちらを伺ってくる可愛らしい表情と、すでに臨戦体制の下半身のモノがあまりにもミスマッチすぎて思わずぷ、と笑いが漏れてしまう。まさか笑われると思っていなかったのか坂田は面食らった表情で首を傾げた。
さっきはあんなにがっついてきておれの待ったも聞かなかったのに、ここにきて律儀にお伺い立てるのかよ。やっぱり変なやつ。

「ふふ...くふ......ふぅ。」
「う、そんな笑わんでもぉ...!」
「ふ......いーよ。きて。」

俺もさかたと繋がりたい。
そう言って腕を緩く広げて迎え入れる体制を取ると、坂田は勢い良く飛びついて俺を押し倒した。さっきまで流れていた朗らかな空気は、太ももに触れた坂田のものに驚いて上げてしまった俺の声で一気に色めいたものに変わった。
坂田は膝下で引っかかっていたぐしょぐしょの下着を取っ払うと、引き出しからいそいそとコンドームの箱を取り出した。
...さかた、成長したなぁ。あんなにチビで、ぴーぴー泣いてたのに。体つきもガッシリしたし、全体的に大きくなったし......うん、おおきく......
慣れない手つきで封を開ける姿に愛おしさが込み上がるけど、するすると猛々しいモノにゴムが被さっていく様子を直視できなくてそっと目を逸らす。
俺、今からあれを受け入れるのかぁ...
坂田と繋がりたいのは事実だし、承諾したは良いもののやっぱりちょっと怖くなってきて意味もなく自分のお尻を撫でた。

「...怖い?」
「......ちょっとだけ」
「...やっぱり、やめておく、?」
「ふふ。...さかたは、やめたいの?」
「う゛..................ゃめたくなぃですぅ......」
「んは、声ちっちゃ」

しわくちゃのピカチュウみたいな顔をする坂田の首に腕を回して、ぎゅっと抱き寄せる。ふわ、と坂田の優しい匂いが香る。

「おれも、やめたくない。...はやく抱いて」

顔を上げた坂田と、至近距離で目が合う。
お互い熱に浮かされたままの表情で見つめ合って、やがてどちらからともなく、ちゅ、と唇が合わさった。
優しく侵入してきた熱い舌に、俺も応えるように舌を必死に絡めて擦り合わせる。
じゅ、ちゅぷ、くちゅ、ちゅるる......水音を立てながら互いの唾液を舐めとって、舌を吸って、口内を味わうみたいに溶け合う。
...キス、きもちいい。さかた、大好き。

「ン...............んぐ、」

キスに夢中になっている間に、ぐい、と坂田が体重を掛けてきて足が大きく左右に開く。
一旦唇を離して横手で枕を手繰り寄せた坂田が、俺のお尻の下にそれを差し入れた。
ぴと、と後孔に押し当てられたものが何かなんて、もう考えずとも分かる。

「ぁっ...!!んむ......!!」

ずる、と狙いを定めるかのように腰を揺すって先っぽを擦り付けてくるから堪らなくなって声を上げるけど、その声さえも唇で塞がれてしまった。
指とは比べ物にならない質量に思わず身体が強ばりそうになるけど、坂田から与えられる甘いキスによってすぐ力が抜けていくから不思議だ。

「は、はふ......んん...!!」

ぬぷん、とゆっくり先っぽが侵入してきて身体が跳ねる。
腰を片腕でさらに上へ浮かせられて、そのままずるる、と剛直が奥へ奥へと進んできた。
思ってたよりも早い速度で入り込んできたモノにびくびくと腰が震える。
熱い、苦しい。お腹が坂田のモノでいっぱいだ。
坂田の下生えが臀部に当たるくらい奥へ進んでから、一旦動きを止めた坂田はしばらく舌を絡めて、やがて唇を離した。

「ぅ、う...ふぅ......」
「っはぁ...見て、......俺とうらさん、繋がっちゃってる...ふぅ、」
「ぁ、ばかぁ、見せなくていぃ...!」
「んふ、かわえ......、大丈夫、痛くない?」

優しく頬を撫でながらそう尋ねる坂田の手に擦り寄りながら小さくコクリと頷く。
圧迫感は凄いし、全然痛みが無いわけじゃない。でも自分で多少弄っておいたのが功を奏したのか、激痛で悶える程ではなかった。
ふぅーとゆっくり息を吐いていると、坂田が「じょうずやね」と笑って俺の目尻に浮かんだ涙を吸い取るようにキスを落とした。

「あぁっ、ぁ、うぁ......」

坂田は腰をぐるりと回してから、ちゅぷ、ちゅぷ、と本当に小さくゆっくりと律動をし始めた。

(ぅぁ、おれ...本当にさかたとセックスしちゃってるぅ...!)

「ん...うらさ、つらくない?」
「へ、いき......んっ、んぅっ、」

その言葉にそっと俺の腰を掴んだ坂田は先程よりも大胆に腰を振り始めた。
たっぷりナカに仕込まれたローションが抽挿の動きによって空気を含んでぱちゅん、ぱちゅん、と生々しい音を立てる。
坂田のモノが俺のナカからずるる、と抜けて、ずちゅん、と入るのを繰り返して、その度に未知の感覚が襲って自然と力が抜けた。

「はっ、ふ......ナカあっつ、」
「うぁぁ、あ、んぁ♡は、はやぃい、ンン、♡」

いつの間にか俺の体は坂田に持ち上げられたせいで最初よりもだいぶベッドから浮いていて、膝が顔の近くで揺さぶりに合わせてガクガクと揺れるような体制にされていた。上から押さえ込んで差し込むみたいにナカを暴かれる。俺ってこんなに体、曲がるんだ。

「んッ、は、きもちい...きもちーねうらさんっ、♡」
「あっ...あっ、んっ、きもひ、んっ♡んぅっ、んッ♡♡」
「んふ、えっち...かわいい......♡ン、」

言葉を話そうとしても、坂田の突き上げに合わせて断続的に喘ぎ声が漏れてしまってうまく喋れない。だらしなく開いた口からは涎が垂れてしまっているけど、それを拭う余裕も無くて。
ぎゅう、と頭の横のシーツを掴むと、それに気がついた坂田が俺の手を取って恋人繋ぎで指を絡ませた。

「はぁっ、うらさ、ちゅーしよ...」
「ん...んむ...」

腰の動きは止めないまま、噛み付くみたいに唇を奪われる。激しい打ち付けで最初くちゅ、という水音だったのが今はぱん、ぱん、と乾いた音に変わっていた。
無我夢中で舌を絡め合って、吐息さえ呑み込まれてしまいそうな深いキスを交わし合っていると、突然ぐりっと先端がナカのしこりを抉って、目の前がチカチカとスパークした。

「ん゛ッッむぅ゛!!!!♡♡」

ビクン、と身体を跳ねさせた俺に吃驚したのか律動をピタリと止めて目を丸くしながら唇を離した坂田。はぁ、はぁ、と息を荒らげて酸素不足だった肺に空気を取り込む。

「ごめ、痛かった!?ごめんな、俺夢中で、」
「ち、ちがくて......その、なんか...さっきのトコ、へんだった...」
「...さっきのとこ?」

それって、ここ?
俺の脇腹をそっと両手で掴んで、ぐっ、と腰をグラインドさせた坂田のモノが、またさっきのしこりをぐりっと抉って「ん゛ぁっ」と大きな喘ぎ声が出てしまって慌てて口を手の平で抑えた。
にや、と坂田が口角を上げる。

「さ、さかた。まって、?ね?」
「......いやや♡」
「ヒッ......んあ゛ぁっ!♡あっ、ぅあ゛、むりぃぃぃ♡♡」

ぐりゅぐりゅと容赦なくしこりを擦られてもう喘ぎ声が止まらない。
さっきまではちょっと変な感じがするくらいだったのに、どうしてもうこんなに気持ちいいの。
坂田に、触られてるから?ナカに入ってるのが、坂田のものだから?
ばちゅん、ばちゅん、今までで一番大きな水音と肌がぶつかり合う音が部屋に響く。
快楽を逃がしたくて首を横に振ると、目尻から流れた涙が枕に滲んだ。

「ぅぁ〜〜っっ!!♡♡むぃ、しゃかたぁ、あぅ゛、はげひぃ...ひっ♡」
「っふ、きもちい?うらさん気持ちええっ?」
「ぅう゛〜ッッ♡きもひ、きもひいからぁ、♡」
「はぁ〜゛かわえぇ......あし、ここ乗せて、」
「ぁっ、やだ......んんっっ!!♡」

片足をぐい、と抱えられて坂田の肩にふくらはぎが乗せられる。より一層繋がりが深くなった状態でがつがつと杭を打ち込まれて、いよいよ体の震えが止まらなくなってきた。

「すきっ、うらさ、だいすき...っ」
「あぅっん...!お、れも、だいすきぃっ、♡♡」

ぁ、だめ、なんかおっきいのくる、きちゃう。

「ぁ、らめ、なんかくる...う、さかたぁ!」
「大丈夫こわくないこわくない...気持ちいいのがくるだけやからね......ん、ほら...イくって声に出してみて」
「ぅ......あっ...いく、いく、いっちゃうっ、♡」
「うんっ...ふ、いっしょ...イこっ、!♡」

俺を宥める声はとびっきり優しいのに、ばちゅばちゅとナカを穿つ腰の動きはまったく優しくなくてそのギャップに頭がクラクラする。
もう腰のガクガクが止まらない。すぐそこに、絶頂が迫ってきていた。
ぐんっ、と一段と強くしこりを潰されて、身体中を電流が走ったみたいな衝撃が襲った。

「んやぁ゛ぁぁ〜〜〜っっ!♡♡♡」
「ん゛っっ......」

精液が勢い良く飛び出て、ぎゅうううとナカが締まる。坂田か苦しげな声を漏らした後、どくん、とナカのモノが波打った。
数秒間奥に精液を擦り付けるみたいに腰を揺らしていた坂田は、全て出し切ったあとにゆっくりと性器を抜いた。

やばい、ふわふわする。
いつまでも深い絶頂から帰って来れない。
こんなに気持ち良いだなんて、思ってもみなかった。
...それに、なんかすごく幸せだ。坂田からの好きを体中に浴びて、たぷたぷに満たされてる気分。

「...んふ、うらさんぽわぽわしてる。いっぱいイったもんなぁ...お疲れさま」
「...ん、」

背中に手を回されてゆっくり抱き起こされる。
優しく髪の毛を撫でる坂田の温かい手のひらに頭を擦り付けて、応えるように俺も腕を坂田の背中に回した。

「おまえ最初からとばしすぎ...ばか...」
「う、ごめん...うらさんが可愛すぎて止まらへんかってん...」
「...くふ。おれ、可愛かった?」
「当たり前やん!ほんま最高に可愛くて最高にエロかったで」
「バカ、最後のはいらねぇ」
「えぇ、なんでぇ」

くふくふ、暖かい体温に包まれながらふたりで笑いを零す。
ちゅ、ちゅ、と触れ合うだけの小さなキスを顔中に落とされていたら、段々と意識に靄がかかってきて、視界が薄らいでゆく。
それに抗おうともしないまま、とぷん、と暗闇の世界へ意識を落とした。

「おやすみ、うらさん」

「愛してる」
















「...ところでさぁ、なんで我慢してたの?」
「う゛、やって......絶対がっついちゃうと思ったからぁ......」
「ふーん?そんで案の定がっついちゃったわけ?...ふ、ばーか。お前らしいけど」
「なっ......、10年来の片思いなめんなや!!こちとら何回脳内でうらさんにあんなことやそんなことを」
「うわぁ!!!そういうのは言わなくていいバカ!!変態!!!ハム!!!!」



ふたりの関係は、まだまだ始まったばかり。

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